こんにちは。さこんじ(https://twitter.com/saKOnzi35)です。
会社・プライベートで昨日よりも楽しく充実した1日を過ごす為に役立つ内容を配信していきますのでどうぞお付き合いください。
今回は…
日刊スポーツ新聞社でプロ野球担当記者を16年間経験後、2016年に独立し2019年までNumber編集部に所属。現在はフリーで活動されている鈴木忠平さんが書かれた『嫌われた監督 落合博満は中日をどう変えたのか』を紹介していきます。
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嫌われた監督 落合博満は中日をどう変えたのか (文春e-book)
この記事は以下の方々にオススメです。
- この本を買う前に予習をしておきたい方
本を読む前に(1)概要と(2)本書の核となる大トロ部分を押さえておくことで、読書効率が飛躍的に上がります。本記事はこの2点をしっかり纏めた構成です。 - Amazonレビューより深掘りした内容・評価・レビューをお探しの方
ただの感想は書いていません。どれだけ読むべき価値があるのか、どんなところに学びのポイントがあるかを皆さんにお伝えします - 私生活にどう活かせるかを知りたい方
本を読んでハイ大満足っ!で終わりたくないですよね。本書の内容を通じてさこんじが何を学んで生活にどう反映させたのか、よかったら参考にしてみてください
この記事を読んでから読書をすると、事前知識が無い状態と比較して圧倒的に効率よく読めるようになります!
この記事を読むことで…
それでは皆さん、本編へ参りましょう。
【予備知識】落合博満さんはどんな人?
事前知識として、落合博満さんに触れておきます。
落合 博満(おちあい ひろみつ、1953年12月9日 – )
秋田県出身の元プロ野球選手(内野手、右投右打)
選手時代は1979年から1998年にかけてロッテオリオンズ・中日ドラゴンズ・読売ジャイアンツ(巨人)・日本ハムファイターズの計4球団に在籍。ロッテ時代には史上4人目かつ日本プロ野球史上唯一となる3度の三冠王を達成。
NPB史上最高の右打者の一人と称されています。
2004年から2011年まで中日の監督を務め、全ての年でAクラス入りを果たし、4度のリーグ優勝・1度の日本シリーズ優勝を達成。
2013年シーズンオフから2017年1月までは中日のゼネラルマネージャーを務めています。
落合博満さんの代名詞として『オレ流』というものがあります。現役から監督・GM時代に到るまで生き様が正しく我流であり、他の人とは一線を画す言葉や考え方にその名が付きました。この本にも『オレ流』が随所に散りばめられており、そこに是非注目してみてください。
【予備知識】どんな本?
「週刊文春」2020年8月13日・20日の合併号から連載が始まり、2021年3月4日で最終回を迎えた記事を単行本用に加筆修正されたものです。落合博満に影響を受け、真のプロフェッショナルへと変貌を遂げていった12人の男たちの証言から、異端の名将の実像に迫っていく作品となっています。
全12章の構成となっており、ストーリーテラーとなるスポーツ新聞の駆け出し記者(鈴木忠平さん)の回想シーンと各章ごとの主人公達のノンフィクション物語が交互に描かれていきます。
本書の始まりは2003年10月3日、駆け出し記者である鈴木忠平さんが「落合博満さんが中日ドラゴンズの監督になる」という内容を記事にすることを伝書鳩として、落合博満さん本人へ伝えるため自宅へ訪れるシーンから始まります。
駆け出し記者の上司が、星野仙一元監督を親しみを込めて「仙さん」と呼んでいた一方、落合博満さんのことは「オチアイ」呼んでいることを知り、記者の中でも「嫌われた」存在であった事が冒頭に描かれています。
そんな「嫌われた監督」となる落合博満さんは、2004年監督に就任し8年間のペナントレースですべてAクラス入り、日本シリーズ5度進出、2007年には日本一にも輝き誰もが欲している“結果”をだしていきます。
本書を読み進めることで明らかになっていきます。
目次
続いて目次を見てみましょう。
- プロローグ 始まりの朝
- 2004年 第1章 川崎憲次郎:スポットライト
- 2005年 第2章 森野将彦:奪うか、奪われるか
- 2006年 第3章 福留孝介:二つの涙
- 2007年 第4章 宇野勝:ロマンか勝利か
- 2007年 第5章 岡本真也:味方なき決断
- 2008年 第6章 中田宗男:時代の逆風
- 2009年 第7章 吉見一起:エースの条件
- 2010年 第8章 和田一浩:逃げ場のない地獄
- 2011年 第9章 小林正人:「2」というカード
- 2011年 第10章 井手峻:グラウンド外の戦い
- 2011年 第11章 トニ・ブランコ:真の渇望
- 2011年 第12章 荒木雅博:内面に生まれたもの
- エピローグ:清冽な青
重要な章である大トロ部分の紹介
どのエピソードもとても面白いです。
正直端折る事無く、全部読んでいただきたいのが前提である本書ですが…
その中でも、特にオススメしたいのは赤線マーカーをしている第5章、第7章です。
2007年 第5章 岡本真也:味方なき決断
2009年 第7章 吉見一起:エースの条件
第5章は2007年11月1日、日本シリーズ第5戦で山井大介投手が前代未聞の完全試合を成し遂げる一歩手前で、落合博満監督の采配により岩瀬仁紀投手へ交代が告げられた出来事の詳細が描かれています。
この非情とも言える采配の裏には、岡本真也投手との3年前のあるエピソードが関係していました。そのエピソードがきっかけで落合博満監督は野球におけるゲーム中の感情を捨て去り、急速に選手との距離を置くようになっていきます。
落合博満監督が日本一という目標達成の為、色々なものを削ぎ落としていくプロセスが印象的な本章を是非、皆さんには全集中で読み進めて頂きたい!
てっぺんを目指すことの難しさ、プロフェッショナルの真髄を垣間見ることができるはずです。
第7章は吉見一起投手が中日ドラゴンズのエースになるまでのサクセスストーリーが描かれています。
その過程で、落合博満監督が吉見一起投手に掛けた数少ない言葉とは?
選手に考えさせ、気付かせ、導いて成長を促すマネジメントが随所に散りばめられています。コミュニケーションの部分などを考慮すると現代社会において全てを真似することは危険かもしれませんが、仕事での部下や後輩の育成に取り入れるべき要素はたくさん詰まっていると感じました。
是非、自分の立場や場面に置き換えて読んでみて頂きたい。
この本の価値
さこんじはこの本の価値を3つ提案致します。
- ノンフィクション小説としての作品力
- 人を成長させる方法
- プロフェッショナルを知る
野球ファンはもとより、社会に出て働き収入を得ている人すべてにとって読む価値があると思います。
1.ノンフィクション小説としての作品力
落合博満さんという題材が素晴らしいことに加えて、著者の言葉選び、表現方法、構成がとても秀逸です。監督就任から退任までの8年間を軸に数々のエピソードを重ねることでその人間性が明らかになっていきます。
個性的でもあり魅力的な人物像に引き込まれ、ページを進める指が止まりません。
各章ごとに、スポーツ新聞の駆け出し記者視点、選手視点の話が交互に入れ替わる文章は一見混乱しそうにも思えます。しかし、実際は表と裏のような関係性が成り立っており、そこから紡がれていくストーリーには感動を覚えます。
2.人を成長させる方法を学ぶ
一見、落合博満監督は選手との関わりを持たず放任主義のようなイメージがあるかもしれませんが、実は誰よりも選手たちを見ています。見ているというより、観察しています。
その上で、選手たちが一皮剥けるように、かと言って干渉し過ぎないよう計算し尽くした方法でアプローチを仕掛けています。『上から命令されたので…取り敢えずやってみます。』なんて思考停止な回答が返ってこないよう本人にしっかり考えさせ、悩ませ、決断させるのです。
1つのエピソードとして以下の話を引用します。
「俺が監督になったとき、 キャンプ初日に紅白戦をやるって言ったよな?あれ、何でだかわかるか?」それは、この歳月を総括するような問いだった。
落合が就任して最初のシーズンとなった二〇〇四年、プロ野球界がようやく動き始めるキャンプ初日の二月一日に中日は紅白戦を行った。 あらかじめ予告していたことを本当にやった落合は、球界の非常識と言われ、その得体の知れなさを内外に印象づけた。
選手を見極めるためではないだろうか。荒木はそう考えていた。八年前の謎を持ち出した落合は、グラスを片手にこう言った。「お前、あのとき、紅白戦の日まで何をしていた?」 にやりとした笑みを浮かべていた。「ひとりで考えて練習しなかったか?誰も教えてくれない時期に、どうやったらいきなり試合のできる身体をつくれるのか。今までで一番考えて練習しなかったか?」
荒木は、空になった落合のグラスを見つめながら記憶をたどった。確かにそうだった。
新しい監督がやってきて、生き残りの篩にかけられる。その危機感から、まだ吐く息の白いうちから野球のことに頭を巡らせている自分がいた。
鈴木 忠平. 嫌われた監督 落合博満は中日をどう変えたのか (文春e-book) (Kindle の位置No.5069-5074). 文藝春秋. Kindle 版.
プロフェッショナルを知る
サラリーマンとは違い、契約の中で生きているプロ野球選手達はいつ仕事がなくなってもおかしくありません。そんな中で監督が求められることは契約書に書かれてあること、即ち優勝することです。落合博満監督は単純にそれを達成するためだけに愚直に仕事をしている、ただそれだけなのです。
上下関係、しがらみ、妬み、僻み、派閥、不要な人間関係、そういった目標に邪魔なものをどんどん削ぎ落とし、研ぎ澄まして仕事に集中する落合博満監督の姿はまさにプロフェッショナルそのものです。
そして、このやり方を突き通すには圧倒的な“あるもの”が必要になります。
それは、他者を黙らす「成果」です。時差は許されず『成果は後でついてきます』なんてセリフは絶対に成立しません。同時進行で成果を出して初めて認められる茨の道、それを8年間継続した落合博満監督の凄さを知ることができる本書は、働く皆さんにとって胸に刺さる価値ある本だと言えるのではないでしょうか。
学びポイント
この本を読む限り、選手と首脳陣とでコミュニケーションが豊富だったとはとても思えません。だが、それ故に研ぎ澄まされ、選手にとっては野球だけに集中できる環境が仕上がっていたように感じます。そして、育成方針としては個人主義、強制はしない、選ぶ権利、答えではなくヒントを与える、こんなキーワードが見えてきました。
これは、名著“嫌われる勇気”の課題の分離に繋がるものを私は感じました。
嫌われる勇気
ある国では「 馬を水辺に連れていくことはできるが、水を呑ませることはできない」 ということわざがあるそうです。本人の意向を無視して「変わること」を強要しても、あとで強烈な反動がやってきます。
落合博満監督と選手とのやり取りを見ていると、最終的に自分を変えることができるのは自分しかいない、ということの実践であるように感じました。
本書で落合博満監督は実力が付く前の若手を試合に出しながら育成するという方法には否定的です。
これは技術的な部分や精神的な部分が成熟し“水辺に連れていく“ことで何かを掴んでくれそうなメンバーを見極めていった結果だったのではないでしょうか。
自身がマネジメントをする場合『水辺に連れていく』人材の見極め機会を多く作ること、その人によりマッチした“水辺“を用意することが人を育てる上での1つの姿なのだと気づきました。
自身が選手(雇われている)側の視点に立った場合、成果を上げるには落合博満監督のような上司でも他の人でも本気で考え行動を続けない限り“水辺“にいくチャンスはそう訪れません。
コイツを育てたい!と思わせるか、もしくは“水辺“に連れて行く価値があると思ってもらえないと次のステップに進むのは困難です。
まとめ
今回は、鈴木忠平さんが書かれた『嫌われた監督 落合博満は中日をどう変えたのか』を紹介していきました。
最初に予備知識として、落合博満さんの経歴とどんな本であるかの概要を説明しました。
本書の大トロ部分の紹介と読むべき価値を共有、本書を通じて学びとなった部分をさこんじの視点でお伝えしました。
- 1.予備知識
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- 落合博満さんはどんな人?
NPB史上最高の右打者の一人。2004年から2011年まで中日の監督を務め、全ての年でAクラス入り、4度のリーグ優勝・1度の日本シリーズ優勝を達成。 - この本はどんな本?
落合博満に影響を受け、真のプロフェッショナルへと変貌を遂げていった12人の男たちの証言から、異端の名将の実像に迫っていく作品。全12章構成で、ストーリーテラーとなるスポーツ新聞の駆け出し記者の回想シーンと各章ごとの主人公のノンフィクション物語が交互に描かれていきます。
- 落合博満さんはどんな人?
- 2.重要な章である大トロ部分の紹介
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- 2007年 第5章 岡本真也:味方なき決断
- 2009年 第7章 吉見一起:エースの条件
- 3.この本の読むべき価値
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- ノンフィクション小説としての作品力
- 人を成長させる方法を学ぶ
- プロフェッショナルを知る
- 4.学びとなった部分
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結論…雇われている側で何か大きな成果を出す場合、本気で考え行動を続けない限りチャンスは訪れない。
野球であっても、会社であっても「君を育てたい!」と言わせるか、次のステップに行く準備が整っていると認めさせるような行動を繰り返していくことが成功への一番の近道であるこを本書を通じて学びました。
この記事を通じて改めてこの本を読みたい!と思った方は今すぐ、購入してください。
「後で読もう~」は勿体ない。
人生を変える本に今出会っているかもしれません。後回しにせず、今この瞬間から行動を起こしていきましょう。
最後までお読み頂きありがとうございました。
また別記事でお会いしましょう。