こんにちは。さこんじ(https://twitter.com/saKOnzi35)です。
1500名規模の総合商社で22年度より管理職になった新米マネージャーです。
会社・プライベートで昨日よりも楽しく充実した1日を過ごす為に役立つ内容を配信していきますのでどうぞお付き合いください。
さて、今回は…
放送作家として数多くのテレビ番組の制作に参加し、アイドルグループ「AKB48」のプロデュース等にも携わった岩崎 夏海氏が書かれた『もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの「マネジメント」を読んだら』を解説していきます。
もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら
この記事は以下の方々にオススメです。
- この本を読んで見たいと思っていた方
本書を読む前にこの記事で概要を理解しておくことで、本書からの学び・インプットが劇的にスムーズになります。理解度に差が出るはずです。 - この本を読んだ事があるが、忘れかけているので復習したいと思った方
本は一回読んだだけでは全てを理解するのは難しいです。隙間時間を活用して復習の為、要約や読者の見解等を反復することで理解を深める事ができます。 - ドラッカーは敷居が高いけど、著書「マネジメント」は気になっている方
ドラッカーの本は情報量も膨大で、抽象的な表現も多く解釈が難しいです…。一方本書はそんなことはありません!この記事と本書を通じて、「マネジメント」に触れてみましょう。
すごく有名な作品なので、読んだ事がある方も多いかと思います。むしろ、読んだことないって今更言えない…とお悩みの方はいませんか。
さこんじ「はい…。わたしの事でしょうか…?」
そうなんです。さこんじ35歳にしてやっと読みました。通称「もしドラ」。
本書は2009/12/3に発売されており、12年以上寝かせてしまいました。
読むきっかけになったのは、去年より会社で読書会のサークルを立ち上げ、課題図書になった事が理由です。他の同僚でも読んでない人がいた…!のですが、5人中3人はすでに読んだことがあったので復習的な形で参加をしてもらいました。
このような機会が持てておらず、天邪鬼的でまだ読めていない方に、この記事をお送りしたいと思います。
是非最後まで読んでいってください。
それでは本編に参りましょう!
本の概要
女子高校生のみなみが入院している友人への恩返しの為に野球部のマネージャーとなり
ドラッカーを読んで感動と勇気を届けるために甲子園を目指す物語です。
ほぼ表紙の通りですね。
本書の面白いところはマネージャーとなる主人公の師匠として、ドラッカーの『マネジメント』を参考にし、同書のエッセンスを交えながら物語が進行することです。
名著として世界で読み継がれているドラッカーの『マネジメント』ですが、ページ数も多く日本人からすると少々読みづらいと言われる事もあります。しかし、この「もしドラ」は小説の中に疲れない程度引用し具体的にどう活用していくのかを実践してくれます。
- 青春ストーリー良し
- ドラッカーの『マネジメント』超入門編として敷居を低くしてくれている
- 具体的な活用例が書いてある
学びながら小説も読めるような感覚で、無理なく最後まで読み切れる作品です。
プロセスと成果、重要なのはどっち?
私がこの本を読んで一番自問自答した部分です。
終盤で主人公のみなみはこの疑問にぶつかります。
プロセスを評価するべきなのか、成果を評価するべきなのか
とても難しい問題です。
作中ではドラッカーの“成果”を支持する文章を引用しており、マネージャーのみなみもそれに習って行動をしていました。しかし、1つ出来事をきっかけに、この考えが正しいのか葛藤する場面があります。
成果や業績によって評価される者の数を可能なかぎり増やさなければならない。
もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら
成果よりも努力が重要であり、職人的な技能それ自体が目的であるかのごとき錯覚を生んではならない。仕事のためではなく成果のために働き、贅肉ではなく力をつけ、過去ではなく未来のために働く能力と意欲を生み出さなければらならない。(200項抜粋)
私も一緒に考えました。そして、出した答えは以下です。(現時点で考え抜いた結論です)
目的によって使い分けてよい
白黒付けないのはずるい、と思いましたか?
それでも、私は柔軟性をもってこの議論に望むべきと判断しました。
2択の選択に対して0か100かで物事を判断してしまうと、状況と場面で行動が変わってしまいます。自分なりの判断基準をもって、方向性を整理しブラッシュアップをしていくことで自身の考え方が固まって行くと考えています。
目的によって、という部分の条件をもう少し整理していきたいと思います。
それは、取り組む目的に対して「存続に関わるかどうか」で1つ線引きをします。
加えて、以下2つの視点での使い分けも必要です。
- 自分で自分を評価する場合
- 自分が他者を評価する場合
その為、合計4パターンに分けて考え方を整理して行きたいと思います。
- 存続に関わらない事×自分で自分を評価する場合
- 存続に関わらない事×自分が他者を評価する場合
- 存続に関わる事×自分で自分を評価する場合
- 存続に関わる事×自分が他者を評価する場合
パターン別に考えてみる
この本の主役たちは高校生の野球部員達です。
野球部が甲子園に行くことを目標に部活動をおこなっていましたが、仮に甲子園に出れなくても命の危険はありませんし、今後生活水準が著しく下がるわけでもありません。
よって、“存続に影響がない事”とします。
一方で、会社を例にして考えた場合、成果が上がらないと会社は利益を上げられず倒産=命に関わる事象と捉えました。働いている個人としては転職や事業を起こすなどいくらでも収入を得る方法はありますが、組織で働いているその時は、その責任を負う必要があると考えて“存続に関わる事”としています。
- 存続に関わらない事=例:高校野球(基本、負けても野球部がなくなる事はない)
- 存続に関わる事=例:会社(会社が倒産する可能性は有)
1.存続に関わらない事×自分で自分を評価する場合
言い方が少し悪いですが、野球部は負けても買っても不祥事さえなければ基本は存続し続けます。
その場合、重視されるべきは「プロセス」であると結論付けました。
存続するということは、未来があり道は続いていくと言うことです。
その時々を全力でやり遂げる事は必要ですが、成果が出なかったことによって自分を過小評価してしまい、道を見失ってしまうのはよくありません。
成果が出なくても、プロセスで切り開いた他の道(可能性)に方向転換するか、少しだけ引き返して別の道をまた進めば良いのです。
2.存続に関わらない事×自分が他者を評価する場合
自分が他者を評価しなければ行けない場合、自分で自分を評価する軸と考え方は一緒です。
マネジャーという立場であれば、やはり「プロセス」を重視し、期待した結果が得られかったとしてもここで全てが終わるわけではないという事を理解しきちんと伝えなければならないと考えます。
たとえ甲子園に行けなかったとしても、生きている限り未来は続いていきます。今やれることに全力をだした結果なのであれば、現実を受け入れて1日でも早くまた立ち上がり、今より良くしていくことを促すのが必要ではないでしょうか。
私の好きな漫画の1つである「アイシールド21」という作品がありますが、その中で引用されていたもので、このような言葉があります。
フィールドでプレーしたことのある者ならば、誰でも屈辱を味わったことがあるはずだ。
負けたことのない選手など、いまだかつて存在したことはない。
だが、一流の選手は、自分のそれまでの努力に報いようと、
全てを尽くしてすみやかに立ち上がろうと努める。並の選手は、立ち上がるのが少しばかり遅い。
そして、敗者はいつまでもフィールドに横たわったままである。
打ち負かされること自体は、何も恥ずべきことではない。
テキサス大学フットボールチーム「ロングホーン」ヘッドコーチ
打ち負かされたまま、立ち上がろうとせずにいることが恥ずべきことなのである。
ただ、高校生がこの思考に気付けるのは難しいかもしれません。
生きている今、通っている高校が自分の全てでありその先なんてなかなか想像はできません。
この場合、大人になっている親や顧問、コーチが伝えてあげる必要があります。
良き親、良き指導者とは、俯瞰した状態で生徒・部員の将来を想いやり未来を考えさせる事ができる人なのかもしれませんね。
3.存続に関わる事×自分で自分を評価する場合
「成果」が出ないと存続が危ぶまれる会社の組織の一員だった場合、自分で自分を評価する視点は会社の命が続いていくように、確実に利益を上げる為に「成果」を出すことを目指し、評価するべきと考えました。
但し前提として、会社・組織の信念を忘れてはいけません。
信念は働いて成果を上げる目的になります。
信念・目的を果たす為に会社がある
↓
会社は支援者があって初めて成り立つ
↓
支援者がいるから信念・目的を維持できる
↓
信念・目的を果たす為に会社がある…
成果は最優先ですが、それは信念・目的があってはじめて評価されるものです。
信念や目的がないと「正しい成果」なのか判断ができません。
このループの中であれば、成果を出すことに集中できれば道を外れる事なく、自ずと会社は成長していき存続できるはずです。
4.存続に関わる事×自分が他者を評価する場合
大前提として、会社での役割と他者の人格は切り分けて考える必要があります。
組織と関係ない、友人知人との関係でいえばそもそも個別の評価なんて必要がありません。
あくまで自身が役割として会社組織内で評価をしなければいけない場合に限っては、厳密に「成果」を中心に評価を行い、組織が存続できるよう努めていかなければなりません。
とは言っても、会社が存続していく場面においては未来に繋がるプロセス(やってきた事)はしっかり加味していくのがもっとも合理的であると考えます。
結論は、「成果」>「プロセス」の構図であり、優先されるべきは「成果」としました。
まとめ:自分のプロセス・成果の評価軸を持つ
「もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら」の概要と本の中で出てきた「成果とプロセスどっちが重要?」というテーマについて考え、まとめてみました。
まとめてみると上記のイメージです。
言葉の捉え方、今ままでの生き方、年齢、立場、様々ですので万人用の答えはきっとありません。
ただ、自分の現在の立ち位置や考え方を整理し、自身を理解しておくことは重要です。自分や他者を評価しなければならない時に指標がないとその時の感情でズレが起きてしまいます。
特にプロセスの評価は捉え方次第でどうとでもできてしまう側面があります。
どのような軸をもって評価しているのかをしっかり整理し、しっかり説明責任が果たせるよう準備しておくことがマネージャーとして一番必要なことだと思います。
今回の記事はこれで終了です。
サラリーマンの方や、組織を運営もしくは属している方、子供を育てていらっしゃる方にも響く1冊だと思います。是非まだ読んで事の無い方は手にとってみてください。
本だけでなく、映画化や漫画化もされており色々な方法で作品に触れる事ができるようになっています。以下も是非参照してみてください。
もしドラ~もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら~ (コミックス単行本)
ここまでご覧いただきありがとうございました。